山荘生活

2011年の秋から、飼い主は八ケ岳南麓の小さな山荘を個人的な避難所のつもりで使い始めました。
あとから冷静になって思えば、どこにいようと地震はやってきます。また、この山の中の山荘が東京よりも安全とはいえません。それは、その後の熊本地震での阿蘇山別荘地の被害などを考えれば明らかです。が、この時点では危険な都内から逃れる場所という位置づけでこの山荘を考えていました。
それが、2012年、2013年と年を重ねるにつれて、だんだんと八ケ岳山麓の生活は、災害からの避難場所というよりは、仕事のストレスからの避難場所のような位置づけに変わっていきました。アラジンやデイジーを連れて風光明媚な山麓の観光スポットを回ることも多くなりました。人間は喉元過ぎれば熱さを忘れる、ということの良い例だと思います。
そんな生活をつづけながら、アラジンは12歳、13歳と年を重ねていきました。先代犬のゴールデンレトリバーはすでに寝たきり状態になっていた年齢です。飼い主は山荘の生活を楽しみながらも、だんだんとタイマーが時を刻んですすんでいくのを感じていました。アラジンとデイジーの何気ない日常までも写真やビデオに残しておきたいという意識が強くなり、PCにもiPhoneにも、このころから膨大な数の写真、ビデオデータが残っています。
ところが、ある日飼い主は散歩中、アラジンの目の近くに小さなおできができたのに気付きました。そのおできが、どうみても普通の脂肪瘤などではなさそうに見えて、飼い主はその足でいつものかかりつけ獣医さんへ連れて行きました。そして、そのままアラジンを預けておできを切除してもらったところ、このおできがメラノーマであることがわかりました。それまでも、エプリスという良性の腫瘍などにかかったことはありましたが、悪性の腫瘍だったのです。
このときの切除手術で悪い組織は全部とったけれども、再発がこわいので、ということでアラジンは神奈川にある大学病院に通うことになりました。
けれど、8か月という経過観察期間を経ても再発はなく、幸いこのメラノーマは完治とみなされました。
その間も、八ケ岳山麓通いは続きましたが、元気だとばかり思っていた2頭の健康にも、そろそろ黄色信号がともってきたように思われました。

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