2013年

山荘を持ちながら、結局移住の決断をせずに東京にいたのは老親の世話などがあったという事情が大きいですが、大震災のあとのパニックが収まってみると、東京にはそろっている医療施設などが山にはない、といった周囲の状況を冷静にみられるようになったことも確かでした。
結局のところ、山荘は大災害時などに親兄弟なども一緒に避難する場所だったはずが、ごく普通のセカンドハウスとなっていきました。
アラジンとデイジーも、山行きをかなり楽しんでいたようです。
しかし、そんな生活の中で、アラジンに老いが忍び寄り始めていました。
13歳の半ばを過ぎたころから、やや歩く速さが遅くなり、ドッグランなどでもあまり走り回らなくなってきたのでした。


ホームセンターでも、2頭を連れているところに犬好きの子供がやってきて「若そうにみえるけど、この子たち、もうおじいちゃんとおばあちゃんだよね」などと心配してくれたりするほど、見た目にも老いは現れていたようです。


そうこうするうちに、2013年の11月にアラジンが14歳を迎えました。我が家の犬たちは、それまでみんな14歳で旅立っていったという記憶が、飼い主には重くのしかかってくるようになりました。
しかし、そんなある日、山の山荘の近くの私道でアラジンとデイジーが爆走したことがありました。坂道を駆け下りていく2頭の姿に、まだまだ元気なのかもしれないと安心し、というか、まだまだ元気であってほしいという思いが高まって、飼い主は動画を撮ってSNSなどに公開しました。
また、何を思ったかアラジンが山荘の玄関から庭に飛び出して、庭を思い切り走り回った日もありました。何周も何周も庭を全力で疾走し、近くの小川を見下ろせる場所で、「あんなに広い世界があるんだ」といったような顔つきでうれしそうにしていた姿が目に焼き付いています。その姿はまるで映画「タイタニック」で船のへさきから広い海を見つめているジャックとローズのようでもありましたし、4歳の秋に千葉のペンションで夜通し駆け回った時の元気な姿をほうふつとさせました。

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