デイジーとの新たな生活

アラジンのお葬式が終わって少し気が抜けていた飼い主の心のすきをみすかしたかのように、デイジーはお散歩中に大きな青梅の実を拾い食いして、十日ほども入院することになりました。彼女の拾い食いはよくあることで、大きな柿の実を飲み込み損ねてのどに詰めてしまったり、両親の家で薬や肥料を誤食してしまったり、家のキッチンでネギを拾い食いして、無理やり吐かせたこともありました。しかし、この梅はほんとうに大変な中毒になってしまい、これはアラジンの後を追おうとしているのではないかとまで思わされるほどでした。が、その大事件のあと、彼女の性格は一変しました。なぜかとても扱いやすい良い子に変身したように思います。
アラジンが亡くなるまで、この2頭については兄妹、仲良しの友達のような位置づけでペアとして見ていたのですが、アラジンが不在になるとデイジーの性格がガラリと変わったように思われました。それまでのデイジーは、アラジンを通して人間やほかの犬と接しているようなところがあり、中間管理職のようなアラジンの陰に隠れて自己主張をしていました。それが、いつも飼い主の後にピタッとついて、アイコンタクトをとりながら飼い主の考えを察し、ほかの犬たちともフレンドリーに交流できる犬になったのでした。

飼い主としては、デイジーが子犬の頃から一頭だけで飼育されていたら、どんなにすばらしい家庭犬になっただろうと思わざるを得ませんでした。もちろん、アラジンがいつも遊んでくれる環境はデイジーにとって楽しかったのでしょうけれど、彼女の犬としての才能を全部引き出してはいなかったのではないかと思います。
2014年9月にはデイジーも12歳となり、アラジンとの年の差を考えると、この「新しい犬」と一緒にあと何年暮らせるのだろうかという思いがついよぎったりしてしまいました。
しかし、この頃のデイジーはまだまだボール投げやドッグランでのかけっこが大好きな少女時代と変わらずに元気でした。前後の足全部を振り回すような走り方、跳ね方などもまるで子犬のようで、この子にも老いが訪れるということは信じがたく、できるだけ考えないようにしていました。

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